★★★★
遅ればせながら最近、窪 美澄さんを知って嵌まってしまい過去の作品も立て続けに読んでいます。
この作品もとても良かったです。
マタニティスイミング講師の晶子。
有名な料理研究家を母に持ち何一つ不自由なく育ちながらも家族愛に恵まれないシングルマザーでカメラマンの真菜。
この二人が軸となり物語が展開して行きます。
現在75歳になる晶子が幼少時に体験した第二次世界大戦、晶子と真菜が遭遇した3.11の東日本大震災・福島原発事故。
晶子はマタニティスイミングの先駆者金澤直子さんがモデルになっており、そこに実際に起きた出来事が織り込まれているのでフィクションと言えどもリアリティーがあり、ストーリーにのめり込んで一気読みでした。
登場人物が少ない事もあり、それぞれのキャラが非常に解りやすく、特に晶子と真菜のシーンでは絶えず脳内映像で二人が動いていました。
窪 美澄さんの作品を読ませて頂いていつも感じる事なのですが、底知れぬ暗さの中に確実に力強さが存在していて救いがない場面でも強く引き込まれてしまいます。
おせっかいな晶子、自暴自棄で人に素直になれない真菜、この二人が出逢えた事の奇跡や妊娠、出産、育児、そして生きて行く事、生きぬく事、色々考えさせられました。
タイトルも秀逸です。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。