わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

トランスファー/中江 有里【レビュー】

★★★★

女優であり作家としても活躍されている中江さん、本作もしみじみと良かった。

主人公は人材派遣会社に登録し、大手通信系企業の受付として働いている30歳の大倉玉青。

空虚な毎日を送っていた玉青の身にある日「入れ替わり」が起こってしまう。

現実には有りえない設定と相反して、玉青が抱える過去の秘密や、毎日をただ流されて過ごしている姿にとてつもなくリアルを感じる。

玉青の愛読書『走れメロス』のストーリーが要所要所に良いスパイスを利かせ、姉妹の心情と重なり物語に深みが出ていた。

切なさに溢れているが希望を感じるラストに救われる。




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