★★★
第4回 林芙美子文学賞受賞作「タイガー理髪店心中」に「残暑のゆくえ」を加えた2篇収録。
表題作はのどかな田舎町で暮らす、どこにでもいそうな老夫婦の話。
亡き父が残してくれた理髪店「タイガー」83歳の寅雄だが、未だ現役で店主として店を続け、妻の寧子と共に一見平和な暮らしを送る。
平々凡々な日常生活を送る中、少しづつ壊れて行く妻、それをどこか俯瞰的に見つめる夫、文中からは未必の殺意が感じられ静かな恐怖を感じる。
「残暑のゆくえ」は食堂を営む日出代とその夫の過去の秘密が、ほの暗さを纏いながら徐々に明かされ陰鬱な読後感。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」
ブクログ BEST USER AWARD 2023 Silver賞