わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

いまは、空しか見えない/白尾 悠【レビュー】

★★★★

R-18文学賞大賞・読者賞ダブル受賞作品

「夜を跳びこえて」「かなしい春を埋めに」「空のあの子」
「さよなら苺畑」「黒い鳥飛んだ」
5話収録の連作短編集

各話がリンクし合っていてそれぞれの物語に深みを出している。

抑圧する父親と娘の智佳
過去の出来事がきっかけで男性に対し拒否反応を表す優亜

本作では父と娘、夫と妻、男と女など
その関係性に苦悩と挫折をしながら希望への道を模索し続ける登場人物達の心理描写が丁寧に描かれている。

特に印象深いのは「さよなら苺畑」
外から見ただけでは解りえない人の内に秘めた苦しみと優しさが胸に沁みて来る。

生きて行く上で哀しく苦しい事は限りなく訪れるけれど
その先の一筋の光をかいま見れる様な瑞々しい短編集。




  • 人気のレビュー
  • 関連するレビュー

気軽にコメントどうぞ

*
*
* (公開されません)