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かんむり/彩瀬 まる【レビュー】

★★★

一組の男女が出逢い、夫婦となり、人生を終える。
そのひとこまを掬い上げた作品。

始まりは中学3年生の春。
光は転校生としてやって来た虎治と出会う。

二人は互いに惹かれ合い交際。
その後の別れ、再会、結婚と、ありふれた展開ではあるものの彩瀬さんのふうわりとした空気感の中で描かれる繊細な心理描写に引き付けられる。

この夫婦の会話に過去の記憶が呼び戻され何度も既視感を覚えた。
どんなに好きで結婚した相手でも、気持ちはすれ違い、分かり合えない事に虚しさを感じる日々。

失望と許容を繰り返しながら毎日は流れていく。

胸を突く夫婦小説。




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