★★★
一組の男女が出逢い、夫婦となり、人生を終える。
そのひとこまを掬い上げた作品。
始まりは中学3年生の春。
光は転校生としてやって来た虎治と出会う。
二人は互いに惹かれ合い交際。
その後の別れ、再会、結婚と、ありふれた展開ではあるものの彩瀬さんのふうわりとした空気感の中で描かれる繊細な心理描写に引き付けられる。
この夫婦の会話に過去の記憶が呼び戻され何度も既視感を覚えた。
どんなに好きで結婚した相手でも、気持ちはすれ違い、分かり合えない事に虚しさを感じる日々。
失望と許容を繰り返しながら毎日は流れていく。
胸を突く夫婦小説。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」