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レジデンス/小野寺 史宜【レビュー】

★★★

小野寺ブラック降臨。
暴力と性を赤裸々に描いた青春群像劇。

物語の舞台は湾岸に立つ十四階建てのマンション「湊レジデンス」。
このマンションで暮らす人々のかくも濃い三日間が描かれる。

ひったくりをやめられない成績優秀な中学生・会田望、自転車泥棒に暴行を働く入江弓矢、腹違いの弟・弓矢に劣等感を持つ入江充也、交通事故に遭い終活に失敗した根岸英仁。
四人の鬱屈とした思いが行間から溢れ出る。

現状に不満を抱え心の空洞を埋めるかの如く破壊的行動をする彼らに恐怖を感じる。

感情移入も共感もない。

人間の心の奥底に潜む悪を炙り出す一冊。




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