★★★★
「春、死なん」「ははばなれ」老人の性と母の性を描いた2篇収録。
雰囲気的には、女による女のためのR-18文学賞を思わせる様な作品。
著者は1993年生まれの若い作家さんだが、老人の性を扱った濃密なテーマを瑞々しいタッチで描いていて惹きつけられる。
表題作の主人公は、妻に先立たれ、息子夫婦と二世帯住宅で暮らしている70歳の富雄。
コンビニでDVD付きのアダルト雑誌を購入する富雄には、夫だとか父親だとか言う前に、一人の男としての存在感を感じる。
老いが纏わりつき、死へ近づいているからこそ性に執着する人間の本能を感じた。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」
ブクログ BEST USER AWARD 2023 Silver賞