★★★
「美しい手、だがこれは殺人者の手だ」
冒頭の一言でサスペンスフルな内容を想像する。
碇谷芳郎、碇谷蕗子、野呂晴夫、物語は3人の視点で交互に語られ進行して行く。
離島へ移住を決めた芳朗と蕗子、夫妻の友人・野呂。
人生の終盤を迎えた70代の3人の共同生活は表面上は仲睦まじく見えるがそれぞれに心に秘めた思いがある。
文中から醸し出される重苦しい空気感と、この独特な設定で更に不穏さが増大し、途中から感じる違和感は終盤に向けてどんどん強くなっていった。
読み終えて、この物語はミステリーではなく人間ドラマだった事に気付かされる。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」
ブクログ BEST USER AWARD 2023 Silver賞