★★★
「美しい手、だがこれは殺人者の手だ」
冒頭の一言でサスペンスフルな内容を想像する。
碇谷芳郎、碇谷蕗子、野呂晴夫、物語は3人の視点で交互に語られ進行して行く。
離島へ移住を決めた芳朗と蕗子、夫妻の友人・野呂。
人生の終盤を迎えた70代の3人の共同生活は表面上は仲睦まじく見えるがそれぞれに心に秘めた思いがある。
文中から醸し出される重苦しい空気感と、この独特な設定で更に不穏さが増大し、途中から感じる違和感は終盤に向けてどんどん強くなっていった。
読み終えて、この物語はミステリーではなく人間ドラマだった事に気付かされる。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。