わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

線は、僕を描く/砥上 裕將【レビュー】

★★★★★

水墨画のすの字さえ知らない自分が、この作品を理解出来るのかと言う不安は読み始めてすぐに消え去り、水がゆっくりと優しく流れる様な美しい文章に引き込まれた。

普段は登場人物が脳内映像で動いているが、本作では黒と白から広がる水墨画の世界が脳内で描かれ、文章の美しさと並行して絵が浮かび何とも贅沢な気分を味わう事が出来た。

水墨画の描写だけに留まらないのでバランスが良く読みやすい。

そしてこの物語の主人公、霜介が深い喪失感から、生きる意味を見つけた瞬間、静かな感動が押し寄せ鳥肌が立つ。

「命」の意味を考えさせてくれる秀作。




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