わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

果ての海/花房 観音【レビュー】

★★★

昭和の2時間サスペンスを観終わった様な読後。

埼玉県内の事務所で会社を経営する男性の遺体が発見される。
その場から姿を消した女は以前出会い系サイトで知り合った「鈴木太郎」と名乗る男を頼り、整形し名前を変え、東尋坊に近い日本海沿岸の温泉地へ逃避行する。

温泉旅館の住込み従業員として働きながら別人としての人生を生きるはずだった彼女の運命は…。

行間から冬の日本海の曇天や雪景色、荒れ狂う東尋坊の波の情景までが浮かんで来て、この女性の惰性的な生き様が絶妙にリンクする。

特別な仕掛けなどはないがノスタルジックな味わいの一冊。




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