わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

噓つきジェンガ/辻村 深月【レビュー】

★★★★

「2020年のロマンス詐欺」「五年目の受験詐欺」「あの人のサロン詐欺」
詐欺をテーマに描いた3話収録の中編集。

社会派の黒い物語をイメージして読むと良い意味で裏切られる。

何かの拍子にスッと心の隙間に入り込んだ悪意。
最初は小さい嘘、それに見栄や承認欲求などが加わって嘘はどんどん大きく積み重なっていく。

良心の呵責を感じる登場人物たちの心の揺れと、ジェンガのぐらぐらしている様子が脳内でリンクし、いつ崩れてもおかしくない状況にハラハラする。

詐欺=悪として描くだけではなく人の弱さと強さ、優しさまで繊細に表現された作品。




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