★★★★
穏やかな午後の昼下がりをイメージして読むと良い意味で裏切られる。
物語全体に漂う不穏さとスリリングな展開から目が離せない。
本作には『犬を飼う』『長い午後』と題された作中作が二編登場する。
前者は「小説新央短編賞」の最終選考まで残った作品。
後者は7年後に再び出版社に届いた原稿。
この作中作で語られる男性性への嫌悪は、そのまま作者の実体験が反映されているかの様でノンフィクションを思わせる。
更に女性性ならではの生き辛さに葛藤する編集者の思いと共鳴する事で生まれる共犯関係。
自分の意思を持ちたいと願う女達の想いが刺さる。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。