★★★★
久しぶりの桐野ワールド全開の長編小説
主人公の舞子は自分の本当の名前も知らず、整形を繰り返しながら隠れ暮らす母の秘密も、父親が誰なのかも知らずに生きている少女です。
舞子は家にあった雑誌で七海(ななみ)と言う女性を知り親近感を抱き、手紙を書き始めます。
その七海宛ての手紙を通して舞子のその時その時の状況が読者に解る様に物語は展開して行きます。
舞子はその後エリスとアナと言う地下に住む2人の女性と出会い更に物語はサバイバルな状況へと変化して行きます。
この物語の中心人物である舞子・エリス・アナの人物描写がとても丁寧に描かれていて登場人物にも魅力を感じ、表紙に描かれている3人の女性が絶えず脳内映像で動いていました。
今回の長編は途中で飽きる事が全くなく、グロテスクなシーンや目や耳を塞ぎたくなる様なシーンも出て来ますが、その後の展開が気になり本を閉じる事が出来ませんでした。
最後の最後まで良い意味でどんでん返しの連続で「OUT」以来の衝撃を受けました。
決して心地よい作品とは言えませんし自分の住む世界とはかけ離れている世界での出来事の様ですが、とてもリアルな部分や問題定義も感じられ、久々にのめり込んで一気読みした作品です。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。