★★★★
いつまでも余韻が残る。
二十歳の女子大生、柏木藤子と父より年上の写真家、廣瀬全との、ひと夏の日々を描いた恋愛小説。
藤子から発散される若さゆえの傲慢さ、無防備だけれど、全に向かう純粋な気持ちがストレートに伝わって来る。
一方の全は飄々としていて掴みどころがない。
勝手気ままに見えるが、内に秘めた熱い情熱や生への執着が感じられる。
淡々と読み進めるに連れどんどん引き込まれて行き、いつのまにか、このどうしようもない男に惹かれている自分がいた。
神様の暇つぶしなんかじゃなく出会うべくして出会った二人に嫉妬さえ覚える。
秀作。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」