わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

神様の暇つぶし/千早 茜【レビュー】

★★★★

いつまでも余韻が残る。

二十歳の女子大生、柏木藤子と父より年上の写真家、廣瀬全との、ひと夏の日々を描いた恋愛小説。

藤子から発散される若さゆえの傲慢さ、無防備だけれど、全に向かう純粋な気持ちがストレートに伝わって来る。

一方の全は飄々としていて掴みどころがない。
勝手気ままに見えるが、内に秘めた熱い情熱や生への執着が感じられる。

淡々と読み進めるに連れどんどん引き込まれて行き、いつのまにか、このどうしようもない男に惹かれている自分がいた。

神様の暇つぶしなんかじゃなく出会うべくして出会った二人に嫉妬さえ覚える。

秀作。




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