★★★★
東日本大震災が起きた時、台湾全土から送られた義援金の総額は250億円にものぼると言うニュースを知り、何故そこまで良くしてくれるのかと疑問に思いつつそのままになっていました。
本作は入院した祖母を元気づけるため、祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れた杉山未來が主人公。
7日間、未來が祖母の人生を辿りながら台南で過ごす中、戦前の日本人の涙と無念、台湾人を襲った悲劇などを知る事になります。
フィクションでありながら実際にあった事実が盛り込まれているので、ノンフィクションの様に錯覚しながら読み進める事になりました。
アーケードの様になっている亭仔脚(ていしきゃく)や所狭しと走り回るバイク、ごちゃついた街の様子などが脳内映像に絶えず浮かんで来ます。
未來の7日間をサポートする覚束ない日本語を話す人達。
早口で話し、意思疎通が難しい中にも思い遣りと温かさを感じます。
未來の立場で読み進めて行くうちに、今まで全く知らなかった台湾の事を少しですが知れて、家族の在り方、国同士の在り方、死生観など様々な事に思いが巡りました。
そして涙が溢れて来るエピローグ
丁寧に描かれた重厚感ある作品です。
読後、欖李花(ランリーファ)を検索したのは言うまでもありません。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。