わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

アナベル・リイ/小池 真理子【レビュー】

★★★★

人間の愛と憎が静謐な空気を纏いながら描かれる。

一人の魅力的な男性・飯沼一也と彼を取り巻く女性達の姿を、主人公・久保田悦子が手記として綴っていく物語。

悦子の親友・千佳代が飯沼と入籍後20代の若さで突然の他界。
それ以降、様々な場面で千佳代の亡霊が現れるようになる。

飯沼と関わった女性達の相次ぐ不審死。
果たしてそれらは全て異形の者の仕業なのか。

復讐したくなる程、悪い人間は登場しない。
死者の怨み辛みなどの強烈な憎悪も感じない。

それだけに尚更、異形の者の存在に恐怖を覚える。

深すぎる情が招いた危険なゴーストストーリー。




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