★★★★
人間の愛と憎が静謐な空気を纏いながら描かれる。
一人の魅力的な男性・飯沼一也と彼を取り巻く女性達の姿を、主人公・久保田悦子が手記として綴っていく物語。
悦子の親友・千佳代が飯沼と入籍後20代の若さで突然の他界。
それ以降、様々な場面で千佳代の亡霊が現れるようになる。
飯沼と関わった女性達の相次ぐ不審死。
果たしてそれらは全て異形の者の仕業なのか。
復讐したくなる程、悪い人間は登場しない。
死者の怨み辛みなどの強烈な憎悪も感じない。
それだけに尚更、異形の者の存在に恐怖を覚える。
深すぎる情が招いた危険なゴーストストーリー。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」