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砂に埋もれる犬/桐野 夏生【レビュー】

★★★★

切ない。

『砂に埋もれる犬』はスペインの画家・フランシスコ・デ・ゴヤが製作した絵画で、苦境における犬の孤独と無力さを表現している。
空を見上げ奇跡を待つ犬の姿が、ネグレクトや虐待を受けて育った主人公の少年と重なり胸が痛くなる。

登場人物は揃いも揃ってクズばかり。
少年の母も、またその母も皆、親としての自覚がない。

里親に愛情を向けられても、愛情の返し方が解らず、心の中にマグマを抱え、いつそれが爆発してもおかしくない危うさを秘めている少年が哀れだ。

彼の持つ悍ましさも歪みも全ては無責任に子を産み育児放棄した親の責任だ。




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