わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

我が家のヒミツ/奥田 英朗【レビュー】

★★★★★

前作の「ナオミとカナコ」が臨場感あるサスペンス仕立てで、とても面白かったので次作を楽しみに待っていました。

今回は「家日和」「我が家の問題」に続く家族シリーズの第三弾です。
前の2冊も良かったので、期待大でした。

「虫歯とピアニスト」「正雄の秋」「アンナの十二月」

「手紙に乗せて」「妊婦と隣人」「妻と選挙」の6つの短編が収録されています。

「虫歯とピアニスト」では自分の勤務する歯科医院に、ずっとファンだったピアニストの大西さんが通院する事になり、子供が出来なかった敦美に自分だけの秘かな楽しみが出来た事に共感すると共に心がほっこりさせられました。

「正雄の秋」では出世競争に葛藤する正雄の哀愁が切なく描かれ、「アンナの十二月」では、育ての父と実の父の間で揺れ動くアンナの気持ちがリアルに描かれています。
目新しい題材ではないのに、丁寧な人物描写でどの短編も感情移入して応援したくなりました。

読者の想像力をかき立てる「手紙に乗せて」「妊婦と隣人」
選挙に出馬する事になった妻を応援する夫と息子たちを描いた「妻と選挙」

各短編、所々に心の琴線に触れる言葉もあり、優しさを感じ元気を貰え 読み終わった後、心が温かくなる読後感の良い作品集でした。
奥田さんの作品はやっぱり大好きです。




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