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金環日蝕/阿部 暁子【レビュー】

★★★★

金環日蝕とは、太陽が完全に隠れず、月の外周にリング状に見える現象。

物語は老女が引ったくりに遭う場面から始まる。
以前から老女と付き合いがあった大学生・春風とその場に居合わせた高校生の錬がタッグを組み引ったくり犯を追う。

爽やかな探偵小説かと思いきや、物語はどんどん違う顔を見せて来る。
まさに金環日蝕の様に輪郭は見えていても中心は謎だらけ。

各々の登場人物が内に秘めているものが明らかになる度に驚きや切なさ、やり切れなさが募った。

特殊詐欺、貧困、性犯罪などの社会問題を軸にし、人間の光と影、心の闇を炙り出すミステリー。




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