★★★
心がざわざわし、そのざわつきは頁を捲る毎に増長して行く。
食がテーマでこんなにも不穏な作品は珍しい。
旺介と泉は同じ会社に勤める20代の夫婦。
泉はコレステロール値が高い夫を気遣いヘルシーな食事作りに気持ちを注ぐが、かたや夫は偏食でファミレス舌。
エスカレートして行く泉の料理と対照的に徐々に心が冷えて行く旺介。
この食事作りは夫の為なのか自己満足なのか、私には執着に感じホラーの様にすら思える。
旺介の気持ちも分からなくもないが、彼が取ったある行動には嫌悪感を抱いてしまう。
たかが食、されど食、さじ加減を誤ると待っているのは破滅。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」