★★★★
ざわざわと胸に不安が広がっていく。
「妻は忘れない」「無垢なる手」「裂けた繭」「百舌鳥の家」「戻り梅雨」
毛色の異なる5話収録の短編集。
前作『夫の骨』で騙される快感を味わい期待して待った本作にもしてやられた。
ごく身近な日常の中でふと感じる違和感、不安、猜疑心、嫌悪、自省、それらの感情が複雑に絡み合いながら終盤まで二転三転する展開にざわつきが止まらない。
5話それぞれに趣があって面白いが、中でも不穏でイヤな感じが延々と続くママ友の行動を描いた「無垢なる手」はその心理描写が秀逸。
ホラー要素を含んだリアルミステリー。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。