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そのバケツでは水がくめない/飛鳥井 千砂【レビュー】

★★★★

飛鳥井千砂さんの長編小説

何の予備知識も持たず読み始めたので途中までは主人公、佐和理世(さわ りよ)のお仕事ストーリーだと思っていました。
段々雲行きが怪しくなり、不穏な空気が漂い始め、そこで初めて女性間のイヤミス物語だと気付きました。

色白で華奢で、魅力的な雰囲気満載の小鳥遊美名(たかなし みな)
通称、コトリ(理世に限り美名と呼びます)

そのイメージに私も冒頭からすっかり騙されてしまいました。
理世に起きたセクハラ事件を助けた事で一気に親しくなる二人
けれどその後に待っていた物は…

私自身「○○○さんが言っていたよ」の悪質な嵌められ方を何度か経験している事もあって、コトリの様なタイプは心の底から嫌いです。
人を信じさせておいて、手ひどく裏切る。何故、一度好きになった人達に後ろ足で砂を掛ける様な事が出来るのか理解不能です。

でも現実にコトリの様な女性はそこかしこに存在しています。
いつか天罰が下ります様に。と祈らずにはいられないくらい
コトリの人物描写が微細に描かれていました。

理世の気持ちに絶えず感情移入しながら読めた作品です。
ラストでは少し救われました。

余談ですが297ページ
>美名の前に姿を現したっけ
は、「理世の前」の間違いでは?

それにしても、この「コトリ」さん

私が数年前に出逢った人にそっくりでした。

一時期、とても仲良くしていた人、でも常識外れの行動が目が付き距離を置いた瞬間から

人が変わったかの様に「○○○さんがこんな事言ってたよ」と私と近しい人達に

事実と全く違う事を違うニュアンスで言いふらし後ろ足で砂どころか泥をかけて行った人。

きっと因果応報、いつかあなたには天罰が下りますよ。




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