わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

銀の夜/角田 光代【レビュー】

★★★★

「私って一体なんなんだろう」
この思いが絶えず文中から立ち上って来る。

女子高時代に少女バンドでメジャーデビューを果たした麻友美、ちづる、伊都子の三人。

35歳の今でも過去の栄光に囚われ幼い娘に夢を託す事で自身の承認欲求を満たそうとする麻友美。
夫の不貞に気付いても安定を求め黙認を続けるちづる。
母親を嫌悪しながらもその呪縛に苦しむ伊都子。

抱える問題は三者三様で、どの人物の生き方にも抵抗を覚えるが、心の空洞を埋めたい、生きる手応えが欲しいというその思いには強く共感する。

人生を充実させる事は簡単な様で限りなく困難だ。




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