★★★★
「発心」「修行」「菩提」「涅槃」四章で構成された長編。
若い恋人を持つ42歳の鞠子は、亡き父から相続した元遍路宿で古い日記を見つける。
そこに記された戦前の女遍路の壮絶な人生に、鞠子は徐々に搦め捕られていく。
日記の部分は旧仮名遣いで崩し文字もあるので若干読みづらい。
三章まで淡々と読み進めて行くと、最終章の「涅槃」で一気に面白くなる。
鞠子と鞠子の8歳年上の姉、亜弥が愛した男達の真実、家族の秘密、日記に隠された真相、伏線を綺麗に回収しながら恐ろしさは増して行く。
生と性、人間の情念と怨念にゾッとするサスペンス作品。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。