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途轍もなく残酷でありながら愛おしさに震える。
幾度も涙で文字が滲み、胸が締め付けられる思いだった。
主人公は実母に疎まれ、自分の人生を家族に搾取されて来た貴瑚。
奇跡の様なアンさんとの出会いで一度は救われるものの、過去のトラウマに縛られ選択を誤る。
そんな貴瑚と出会うべくして出会った一人の少年。
この少年も実母からの虐待を受けていた。
深い孤独を感じ死ぬ事さえ厭わない二人が、互いに助け助けられ心を寄せていくさまに心が解れて行く。
『助けて』の声が届かない子らが今もどこかにいるはず。
52ヘルツの鯨の声に想いを乗せた傑作。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」