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途轍もなく残酷でありながら愛おしさに震える。
幾度も涙で文字が滲み、胸が締め付けられる思いだった。
主人公は実母に疎まれ、自分の人生を家族に搾取されて来た貴瑚。
奇跡の様なアンさんとの出会いで一度は救われるものの、過去のトラウマに縛られ選択を誤る。
そんな貴瑚と出会うべくして出会った一人の少年。
この少年も実母からの虐待を受けていた。
深い孤独を感じ死ぬ事さえ厭わない二人が、互いに助け助けられ心を寄せていくさまに心が解れて行く。
『助けて』の声が届かない子らが今もどこかにいるはず。
52ヘルツの鯨の声に想いを乗せた傑作。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。