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52ヘルツのクジラたち/町田 そのこ【レビュー】

★★★★★

途轍もなく残酷でありながら愛おしさに震える。
幾度も涙で文字が滲み、胸が締め付けられる思いだった。

主人公は実母に疎まれ、自分の人生を家族に搾取されて来た貴瑚。

奇跡の様なアンさんとの出会いで一度は救われるものの、過去のトラウマに縛られ選択を誤る。

そんな貴瑚と出会うべくして出会った一人の少年。
この少年も実母からの虐待を受けていた。

深い孤独を感じ死ぬ事さえ厭わない二人が、互いに助け助けられ心を寄せていくさまに心が解れて行く。

『助けて』の声が届かない子らが今もどこかにいるはず。

52ヘルツの鯨の声に想いを乗せた傑作。




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