★★★
明野照葉さんの長編小説
文庫書き下ろし作品です。
両親を列車事故で亡くしてから助け合って来た2人姉妹の由紀と美久
姉の中田由紀32歳は家柄も人柄も申し分ない婚約者、悠介との結婚を控えていましたが
結婚を目前に12日間の一人旅に出掛けます。
頭も良く穏やかで優しかった由紀でしたが旅行から帰ると
その外見も性格もまるで別人の様に変化していました。
プロローグの時点で由紀が変化した理由が想像出来てしまい
変化してからも所々に感じる伏線で疑問も湧かず推理する楽しみが減ったのは残念でしたが
まるでホラーの様な豹変ぶりには狂気と恐怖を感じました。
12日間できっと悩み苦しみぬいた由紀を思うと、深い愛情、切なさ、苦しさを感じますが
その決断は残された人の事を思った時、それが正解だとは言えない気がしましたし、ただただ悲しかったです。
真実を知った時、美久も姉の決断にきっと納得は出来なかったと思います。
由紀が取った行動はよほどの深い愛情と覚悟ががないと可能ではないし
リアリティーの面から考えても限りなくゼロに近いと思います。
明野さんの作品は毎回欠かさず読んでいますが、今回は何とも言えない複雑な読後感となりました。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。