★★★
新津きよみさんの長編小説
ハルキ文庫の為の書き下ろし作品です。
珈琲が自慢の喫茶店「喫茶ポスト」には、亡くなった人に宛てて
届くはずのない手紙を投函出来る郵便ポストが置かれています。
このことを雑誌で知った片岡絵真(かたおか えま)は、早速「喫茶ポスト」に出向き
亡き父への手紙を投函しますが、その時に間違えて祖母から自分宛に届いた手紙も一緒に入れてしまいます。
その後、絵真に不思議な事が起こり物語が展開して行きます。
最初は感動長編かと思い読み始め、次にファンタジーだと思いきや
途中から推理要素が盛り込まれミステリーだと気付きます。
登場人物が少ない分、「喫茶ポスト」で働く吉村紀美子(よしむら きみこ)とその甥である牧野友也(まきの ともや)
片岡絵真、中心となるこの3人の人物描写が丁寧に描かれていて絶えず脳内映像で動いていました。
以前、線路に落ちた子供を助けた友也のエピソードから
「人の道実践会」と言う宗教団体の姿が幕間として描かれたり飽きさせない展開になっています。
新津さんの女性心理を辛辣に描いた作風とは異なりますが
新鮮な題材で楽しく読ませて頂き読後感も良かったです。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。