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十の輪をくぐる/辻堂 ゆめ【レビュー】

★★★★

1964年と2020年の東京五輪、1963年の同日に発生した福岡県大牟田市の三井三池炭鉱爆発事故、神奈川県横浜市列車脱線多重衝突事故など実際起きた事柄が盛り込まれている事で物語に深みがあり引き込まれた。

絶えず万津子に感情移入し続けたので夫の満からの仕打ち、息子の泰介を巡る数々の出来事に胸が痛くなり読み進めるのが辛くなる。

自分の親兄弟からも見放され居場所がなかった万津子の過去を想うとやり切れないが、それでも子を信じる母の愛情に胸を打たれた。

由佳子と萌子の存在が救い。

十の輪をくぐった万津子の生きざまに涙する。




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