★★★★
『事実は小説よりも奇なり』のことわざを嚙みしめながら読み終えた。
井上荒野さんのお母様と父親の井上光晴氏、そして瀬戸内寂聴さんとの性愛が絡んだ三人の特別な関係が微細に丁寧に綴られている。
寂聴さんの不倫の件は以前から存じ上げていたが、そのお相手が井上荒野さんの父親であった事は本作で初めて知った。
一つ間違えばスキャンダラスな暴露本になりかねない内容なのに、井上さんに掛かれば不思議と静謐な雰囲気で温かみすら感じる。
愛の形は様々だがこういう不思議な愛も又存在するのか。
この作品を認め素直に感動する寂聴さんの逞しさに驚く。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。