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女ともだち/村山 由佳【レビュー】

★★★★★

「女ともだち」がテーマの短編小説アンソロジー

既に出尽くした感のあるテーマですが、昨今のSNSを取り入れた短編は8篇全て新鮮で面白かったです。

なんでも真似して来る女性を描いた村山由佳さんの「COPY」
女性あるあるです。
そしてそこに惹きつけておきながらのラストの急展開にはドキっとします。

坂井希久子さんの「ト・モ・ダ・チ」はイヤミスを連想させるどろどろした話で、もはやホラーの様にも思えて怖かった。

千早 茜さんの「卵の殻」は繊細な女性心理が描かれていて女性の執着がただただ恐ろしい。
「サバサバした女なんていないよ」のセリフが印象に残ります。

子供時代の競争意識、嫉妬心を描いた大崎 梢さんの「水底の星」
大人になってからの友人作り、在り方を繊細に描いた額賀 澪さんの「こっちを向いて」読み終えてタイトルを見るとなるほどと思えます。

柔らかい気持ちになれた阿川 佐和子さんの「ブータンの歌」
情景が絶えず浮かび、二人の女性の微妙でありながらイイ感じの距離感を感じた嶋津 輝さんの「ラインのふたり」
ややこしい人間関係ながら、こういうのも有りなのかと妙に女同士のリアルを感じた森 絵都さんの「獣の夜」タイトルがナイスマッチです。

怖さあり、優しさあり、嫉妬、憎悪、女ともだちには様々な感情が蠢いている事を改めて実感すると共に、親友、本当の意味で真友に出会うのは伴侶を見つけるより大変かも知れないと思った短編集。




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