わたしは栞を挟まない|sayuriの読書ブログ

普通の底/月村 了衛【レビュー】

★★★★

自分が考える普通が他の誰かの普通と必ずしも同じではないという事に気付いてから、私は「普通」という言葉を極力使わないようにしている。

だがこの物語の主人公・川辺優人は幼少期から普通に拘り、決してそれ以上にも以下にもなるまいと心を砕いて来た。

本作は彼が書いた三通の手紙で構成されている。

勉強が出来、計算高さも併せ持つ彼であれば、要領よく人生を渡っていけそうなものだが、一つの過ちから坂道を転げ落ちるように転落していく。

それは負の連鎖などと軽々しく言えない程の墜落ぶり。

普通である事に囚われ、底で視た景色はまるで地獄。




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