わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

日没/桐野 夏生【レビュー】

★★★★★

凄まじい恐怖を感じた。

「文化文芸倫理向上委員会」を名乗る政府組織から届いた召喚状に従い、断崖に建つ海辺の療養所へと収容された小説家・マッツ夢井。
そこで待っていたのは地獄の様な日々。

『表現の自由』を奪われ、人を人とも思わない扱い、同じ言語を使っているとは思えない噛み合わない会話、暴力と拘束。
この理不尽な物語にどんどん怒りが込み上げるが、それと同時に人が破壊されて行く恐ろしさに震えが来る。

主人公の不安、怒り、悲しみ、苦しみ、猜疑心、全ての感情に共感出来る。

緊迫感が最高潮に達するラスト10頁は圧巻。

凄い作品だ。




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