★★★★★
凄まじい恐怖を感じた。
「文化文芸倫理向上委員会」を名乗る政府組織から届いた召喚状に従い、断崖に建つ海辺の療養所へと収容された小説家・マッツ夢井。
そこで待っていたのは地獄の様な日々。
『表現の自由』を奪われ、人を人とも思わない扱い、同じ言語を使っているとは思えない噛み合わない会話、暴力と拘束。
この理不尽な物語にどんどん怒りが込み上げるが、それと同時に人が破壊されて行く恐ろしさに震えが来る。
主人公の不安、怒り、悲しみ、苦しみ、猜疑心、全ての感情に共感出来る。
緊迫感が最高潮に達するラスト10頁は圧巻。
凄い作品だ。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」