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私をくいとめて/綿矢 りさ【レビュー】

★★★★

新聞連載されていた綿矢りささんの長編小説です。

表紙のわたせせいぞうさんの装画がインパクトがあって可愛いです。

主人公はもうすぐ33歳になる黒田みつ子
「おひとりさま」を満喫し、一人で生きていくことに、なんの抵抗もなさそうに見えていますが
いつも脳内にいる「A」と対話をしています。

「A」は「answer」から取った名前
スマホで言えば「Siri」の様な感じです。

脳内にいるからと言って主人公が多重人格と言うわけではなく
要所要所で自分が投げかけた問いに冷静に答えてくれる自分の中の自分の様なイメージです。

みつ子程ではないけれど、私自身も何か困った時に自分の中の自分に問いかけている事はあるので違和感もなく、「A」のアンサーを楽しみにしながら読み進める事が出来ました。

「おひとりさま」を楽しみながらもやっぱり他者との接点も持ちたい
そんなアラサー女子の気持ちが繊細に描かれていて同世代の方はもちろんですが
それ以外の女性の方でも共感出来るであろう箇所が随所に感じられました。

多田くんを始め他の登場人物達も、身近にいそうな等身大の姿で描かれていて
平凡な話の中にリアルがたくさん含まれていてとても楽しめました。

軽やかに読めて読後感の良い作品です。




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