わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

ヨルノヒカリ/畑野 智美【レビュー】

★★★

暗い夜に一筋の光が差し込んだような感覚の物語。

手芸用品店を営む35歳の木綿子は恋愛感情がよく分からない。
28歳の光はネグレクトの母親の元で育ち、「普通」とは無縁で生きて来た。
そんな男女がひとつ屋根の下で暮らし始める。

胸の奥に誰にも言えない寂しさを隠していた二人が、男女の枠を超え少しずつ距離を縮めていく過程が心地いい。

派手な展開があるわけではない。
静けさを伴いながら淡々とした日常が紡がれ、互いに相手を思い遣る感情が芽生えていく。

その関係性に名前がなくても二人が安らぎと幸せを感じられるならそれでいいと思える。




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