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転移/中島 梓【レビュー】

★★★★

2009年5月26日、栗本薫=中島梓氏が、56歳の生涯を閉じられました。

私にとって中島梓さんは「象印クイズヒントでピント」に出演されていた才女のイメージが最も強く
栗本薫=中島梓さんだと言う事すら最近になってやっと知ったくらい著書も読んでいませんでした。

ただ若すぎる訃報を知ってこの本だけは手に取りました。

2008年にすい臓がんが肝臓に転移し、抗がん治療をしながらも大ベストセラーである「グインサーガ」や「東京サーガ」シリーズを精力的に執筆し続け、そしてその合間に最期の闘病記となる本書を2008年9月から2009年5月の意識を失う直前まで書き続けられました。

本作品の中には治療過程、毎日の様に押し寄せる痛みとの戦い、余命を宣告されながらも生きたい・でももうこれだけ生きたから十分ではないか?等と揺れ動く気持ちの葛藤も克明に記されています。

そばで支えるご主人・息子さんもどれだけ辛かったかと思うと言葉になりません。

死の直前まで書くことを辞めない、その作家としての本能に感動させられました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。




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