わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

悪と無垢/一木 けい【レビュー】

★★★

「奈落の踊り場」「馬鹿馬鹿しい安寧」「戯れ」「カゲトモ」「きみに親はいない」
5話収録の連作短編集。

それぞれ独立した物語だと思い読み進めていくと、一つのアイテムに既視感を覚え、ある人物の姿が浮き彫りになっていく。

途轍もなく嫌な予感は徐々に確信に変わり、この人物から目が離せない。

美しさと賢さを兼ね備え、息をするように嘘を吐く。
彼女に縋り頼って来る者達に見返りも求めず、純真無垢な言動で接しながら、そっとほくそ笑む姿はまるでサイコパス。

彼女の目的を探ろうとしても一向に真実は見えて来ない。

人間の不可解さに唸る読後。




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