★★★
「奈落の踊り場」「馬鹿馬鹿しい安寧」「戯れ」「カゲトモ」「きみに親はいない」
5話収録の連作短編集。
それぞれ独立した物語だと思い読み進めていくと、一つのアイテムに既視感を覚え、ある人物の姿が浮き彫りになっていく。
途轍もなく嫌な予感は徐々に確信に変わり、この人物から目が離せない。
美しさと賢さを兼ね備え、息をするように嘘を吐く。
彼女に縋り頼って来る者達に見返りも求めず、純真無垢な言動で接しながら、そっとほくそ笑む姿はまるでサイコパス。
彼女の目的を探ろうとしても一向に真実は見えて来ない。
人間の不可解さに唸る読後。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」