★★★★
桐野夏生は容赦ない。
金に目が眩み人探しの旅に出た主人公。
肌に纏わり付く湿り気のある空気、ドロドロに溶けた赤土、様々な匂いが混合したアジア圏独特の香り。
ねっとりとしたカンボジアの町並に主人公と共に放り込まれ、同じ目的意識を持たされる。
次々と現れる胡散臭い登場人物達。
誰が味方で誰が敵なのか全く判断が付かない。
自堕落な生活を送っていた主人公の浅はかさと、あまりにも無防備な行動にじりじりする。
ポルポト時代の恐怖政治を絡めた事で恐ろしさに拍車が掛かり凄みさえ感じた。
衝撃のラストまで一瞬たりとも気を抜いてはいけない。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。