★★★★
冒頭の柔らかな文章から母と娘の温かい物語を想像していると徐々に不穏さが増し、それはすぐに嫌な予感へ変化する。
視覚障害を持つ〈とわ〉と母親の〈あい〉
『永遠の愛』という強固な愛情で結ばれていて欲しいとの願いは簡単に覆されてしまい、とわを待ち受けていたのは数年に及ぶネグレクトだった。
娘を置き去りにした母への怒りと、過酷な状況の中でも母を待ち続けるとわの純真さに心が痛くなる。
庭の草木や朝を告げる黒歌鳥、ピアノの音色に力を貰い、生を諦めないとわを応援し続けた。
後半の反転は鮮やか。
この世界の美しさを再認識させられる。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」
ブクログ BEST USER AWARD 2023 Silver賞