わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

とわの庭/小川 糸【レビュー】

★★★★

冒頭の柔らかな文章から母と娘の温かい物語を想像していると徐々に不穏さが増し、それはすぐに嫌な予感へ変化する。

視覚障害を持つ〈とわ〉と母親の〈あい〉
『永遠の愛』という強固な愛情で結ばれていて欲しいとの願いは簡単に覆されてしまい、とわを待ち受けていたのは数年に及ぶネグレクトだった。

娘を置き去りにした母への怒りと、過酷な状況の中でも母を待ち続けるとわの純真さに心が痛くなる。

庭の草木や朝を告げる黒歌鳥、ピアノの音色に力を貰い、生を諦めないとわを応援し続けた。

後半の反転は鮮やか。
この世界の美しさを再認識させられる。




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