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秋吉 理香子さんの長編小説です。
初読みの作家さんでしたが、冒頭から引きこまれ一気読みでした。
和樹、由美子、理穂、麗香の四人は高校の同級生
親の転勤で引っ越して来て、いつも1人でいた高規範子に
一緒にお弁当を食べようと声を掛けた事がきっかけとなり、5人の物語が展開して行きます。
「絶対正義」を貫く高規範子(たかき のりこ)が怖すぎです。
名前の中2文字を読むと規範(きはん)
ルールを重んじ、世の中のありとあらゆる事象を正しい事と正しくない事の2種類に捉える人物です。
今まで「正義」とか「正義感」は好きな言葉であったけれど
範子の正義の為にする行動には、感情が一切介入せず、例えそれが家族であろうが友達であろうが容赦はしません。
相手を思っての正義ではなくあくまで自己満足の為だけの正義
いつもカメラを持ち歩き、正しくない事の証拠写真を撮影
頭の中には法律がインプットされていて、それのみが正しい事の判断基準です。
和樹、由美子、理穂、麗香ら4人の範子に対する気持ちの変化が丁寧に微細に描かれ
それが感謝から違和感、恐怖、殺意に変化して行く様は共感も出来、絶えず息苦しさが伴いました。
4人が犯行を決意したそれぞれの理由の決定打も納得しやすく
殺したはずの範子から届いた招待状の謎解きのミステリーも堪能出来ます。
そしてそれだけでは終わらないゾワリと来るエピローグも見事です。
決して気持ちが良い読後感ではないけれどイヤミス好きには堪らない、魅力ある1冊です。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。