わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

文身/岩井 圭也【レビュー】

★★★★

途轍もなく趣味が悪く陰鬱な内容に嫌気が差しながらも、この物語の結末が気になり読み続けた。

自伝や私小説は先にその人の歩んだ人生や経験ありきで描かれるが本作で描かれる私小説はその逆を行く。

小説で書いた内容をなぞる様に、酒好きで暴力癖のある男を演じる須賀庸一。
その裏には兄弟間の秘密が隠されている。

兄弟と言えど別々の人間、何故そこまで?と理解が追いつかないでいると終盤で衝撃の事実に慄く。

その瞬間、人間の多面性がもたらした物に一瞬納得をするものの、それはすぐ裏切られラスト1行で再び驚愕させられる。

余韻が凄まじい 。

※173頁6行目 誤植 ×詠子 ○恵以子




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