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銀花の蔵/遠田 潤子【レビュー】

★★★★★

読後、静かで優しい余韻が続く。
奈良にある老舗醤油蔵を舞台に主人公・山尾銀花の生き様が昭和から平成に掛けて丁寧に綴られている。

前半は幼いながらに絶えず周りに気を使い、ひたすら我慢する銀花の健気さに胸が痛くなる。

物語の終盤では、銀花の母・美乃里、多鶴子、桜子、登場人物達が抱えていた苦悩が明らかになり、人の内面の奥深さに嘆息する。

この物語に何度も登場する「ふくら雀の土鈴」どこへ転がろうが転がった先で生きるしかない。

罪悪感に苦しむ人達、其々が辿り着いた場所。
そこでの血縁を超えた結びつきと絆、深い愛情に涙が零れる。




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