★★★
「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」初期の短編3話が収録。
表題作は事故で亡くなった友人・サムの通夜へ向かう20代の5人の男女の姿が描かれている。
そこには深刻さの欠片もなく妙なオカシミさえ感じられるのだが、死は特別な事ではなくただの日常の一コマの様で若干の切なさと共に安堵すら覚える。
仲良し女子3人組の温泉旅行を描いた「猿に会う」は3人が織りなす会話に親近感を感じ、肩の力が抜けるような味わい。
夏の思い出に太宰治の生家を訪ねる高校生男子を描いた「泣く女」は情景が目に浮かぶ。
独特の緩やかな空気感が心地良い短編集。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。