わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

霧をはらう/雫井 脩介【レビュー】

★★★★

やり切れない。

点滴に混入されたインスリンにより二人の幼子が死亡する。
逮捕されたのは同室で生き残った女児の母親だった。

悪人には思えないが、鈍重で掴み処がない母親の言動に疑いの気持ちが強くなる。

犯人は彼女なのか、もしくは別の人物なのか。
遅々として進まない展開に苛立ちながらも真実を知りたい一心で頁を捲り続けた。

法廷シーンは緊張感がピーク。
被疑者を信じ正義を貫こうとする弁護士の信念には胸が熱くなるが、病と闘う幼子達を自身の復讐の道具に利用した犯人に同情の余地はない。

人間の愚かさを思い、霧は晴れても心は晴れぬままだ。




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