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罪の轍/奥田 英朗【レビュー】

★★★★★

最後のページを読み終え本を閉じた瞬間、大きな溜め息が出た。

本作は1963年に東京で起きた『吉展ちゃん誘拐殺人事件』がベースとなっている。

北海道礼文島で暮らしていた漁師手伝いの青年、宇野寛治が窃盗事件の捜査から逃れる為に上京した所から物語は大きく展開して行く。

母親から疎まれ継父からの容赦ない仕打ち、犯人が犯した罪は決して許される事ではないけれど、その圧倒的な孤独に胸が締め付けられる。

そして、この時代ならではの捜査の不手際に悶々としながらも刑事達の執念と熱い想いに心を打たれた。

誰も救われない結末には涙が滲む。




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