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丁寧な文章が好きで欠かさず読んでいる貫井さんの長編小説です。
冤罪で人生の全てを失った男の復讐物語
強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。
7年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されて行く。
常日頃、私自身がこの世の中で一番悔しい事は「冤罪」だと思っているので、かなり興味を持って読みました。
日常の生活の中でさえ、人から疑われたり、信じて貰えない事は悔しい事であるのに、それが犯罪(殺人事件)での冤罪となれば、それ程悔しい事はないのではないでしょうか?
今回の主人公、江木雅史(えぎまさふみ)とその母の苦悩があまりにも辛くて可哀想で、復讐自体(殺人)は当然悪いことと思えても、肩入れしてしまう自分がいました。
人が人を裁く以上、刑事や検事、裁判官、そして目撃者は慎重に慎重を重ねて正義を持ってその仕事を全うして貰いたいとつくづく感じました。
貫井さんのいつもながらの丁寧な文章、そして細やかな人物描写、見事な構成は圧巻です。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。