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はぶらし/近藤 史恵【レビュー】

★★★★

最近ハマって立て続けに読んでいる近藤 史恵さんの長編小説

この物語も読んでいる間、決して良い気分にはならない。
逆に憂鬱な気分にさえなって来ます。
それを持ってしても読まずにはいられない人を引き付ける丁寧な心理描写に惹かれます。

今回の主人公、鈴音(すずね)は脚本家として自立している36歳の女性
一人暮らしをしていたマンションに高校時代の友人、水絵(みずえ)
その息子である7歳の耕太(こうた)が転がり込み3人での共同生活が始まります。

10年ぶりに会った水絵から1週間だけ泊めて欲しいと頼まれた時から二人の「頼む女」「頼まれる女」の対等ではないイヤな関係が展開して行きます。

「はぶらし」を貸して欲しいと頼んだ水絵に2本のはぶらしを貸す鈴音

翌日購入した新しいはぶらしを返してくれるのかと思いきや1度使用したはぶらしを返し、新しい物は自分たちで使用する水絵母子

この冒頭から既に水絵への違和感を感じ、話が進むに連れて鈴音への共感と水絵への嫌悪感が強くなって行きました。

自分自身、鈴音と似ている部分が多すぎて共感したりその優柔不断さにイライラしたりしながらも客観的に意見をしてくれる鈴音の友人である茉莉花(まりか)の存在は良い逃げ場となりほっとする場面でもありました。

鈴音、水絵、この二人の感情を表す心理描写が繊細で丁寧で女同士ならこんな会話がありえるだろうと言う箇所がいくつもありリアリティー溢れる作品でした。

近藤さんの作品は読んでいる間も読後感も決して晴れ晴れとはしないけれど毎回人間関係や女性同士の付き合い方を考えさせてくれる指南書の様です。




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