★★★
秋吉 理香子さんの本作はイヤミス度ゼロのバレエ・ミステリーです。
まず装丁がとても綺麗です。
表だけではなく裏表紙の美しさにも感動物です。
ずっしりと重い341ページですが、登場人物のキャラクターが濃く、会話が多い事もありテンポ良く読み進める事が出来ました。
東京グランド・バレエ団の創立15周年記念公演の演目が「ジゼル」に決定し、その配役を巡って劇団員同士が争ったり嫉妬のオンパレードです。
そしてこの「ジゼル」を巡り15年前の事件の真相も明らかになって行きます。
若干のホラー色と犯人探しのミステリー要素で中盤以降は一気読みでした。
文章の合間合間に、実際の「ジゼル」のストーリーが組み込まれていて、それが登場人物達の行動と見事にリンクして行く部分は面白い趣向でした。
「第二幕」のラストから最終章の「カーテンコール」では全ての謎がパズルがピタリと嵌る様に収まり、スッキリとした読後感となりました。
ストーリー自体は即出感もありましたが、面白かったです。
余談ですが、281ページ8~9行目と282ページ最後の2行が矛盾している感じがして少し引っ掛かりを感じました。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。