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奔流の海/伊岡 瞬【レビュー】

★★★

長い航海を経てようやく港に辿り着いたような読後。

序章で描かれる不穏極まりない出来事は1974年(昭和49年)7月7日に静岡県で実際起きた七夕豪雨を連想し一気に物語に惹き込まれる。

ところが物語が進んでも序章との繋がりが見えて来ず描かれるのは児童虐待と養子縁組、天体観測といった災害とは無関係とも思える内容だ。
一体どこでどう繋がるのか首を傾げていると終盤で知らされるのは七夕の悲劇と呼ぶにはあまりにも残酷な真実。

人の悪意によって人生が翻弄されるなんてやり切れない。

失った二十年分まで幸福になって欲しいと星に願う。




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