わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

雨心中/唯川 恵【レビュー】

★★★★

欠かさず読んでいる唯川恵さんの長編小説です。

今回の作品は実の姉弟の様に身を寄せ合って生きて来た施設育ちの芳子と周也この2人が軸となり物語が進んで行きます。

どこまで逃げれば居場所が見つかるのだろう…

血の繋がりよりも深い絆で結ばれた2人の行方が気になって、本を閉じる事が出来ませんでした。

いつもの唯川さんが書かれる様な恋愛の要素は少ないですが人間味が溢れる濃いお話に仕上がっています。

第一章~第八章、そして最終章に至るまでに所々に隠された伏線がラストに至るまでに綺麗に繋がって作者の力量が感じられます。

芳子と周也は当然ですがその他の登場人物カオル、ハオ
本当に憎くなる多崎、堂島の人物描写は見事でかなり感情移入して読めました。

悲しいラストですが、その後の芳子と周也が幸せになってくれたらと心から願わずにはいられない切ない作品でした。

唯川さんの新しい引き出しを見た様な気がして満足な1冊です。




  • 人気のレビュー
  • 関連するレビュー

気軽にコメントどうぞ

*
*
* (公開されません)